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甲斐 健師; 横谷 明徳; 鵜飼 正敏*; 藤井 健太郎; 樋口 真理子; 渡辺 立子
no journal, ,
本研究では水中に入射及び生成された電子による衝突イベント及び電子軌道の時間発展を明らかにするために、電子衝突による水分子の電離,電子的励起,解離性付着,振動励起,回転励起及び弾性散乱を考慮し、さらに荷電粒子間のクーロン相互作用を考慮したシミュレーションを行った。その結果、数eV以下のエネルギーを持つ電子はクーロン相互作用の影響を受けやすく、振動励起及び回転励起を多発させながらエネルギーを損失することがわかった。また、電離により生じた2次電子は、初期電離サイトから平均3nm程度で熱化することが明らかになった。得られた知見は、水溶液中の生体分子に対する放射線作用の時間発展及び空間分布を考えるうえで重要な情報である。
熊谷 友多; 木村 敦; 永石 隆二; 田口 光正; 間柄 正明
no journal, ,
水溶液からの放射性核種の吸着分離処理では、吸着剤に放射性核種が濃縮するため、吸着剤と水との混合物に対する放射線影響が重要になる。そこで、ゼオライトを用いた放射性核種の吸着処理における放射線影響を明らかにするため、ゼオライトと水との混合物を線照射し、過酸化水素の生成と分解について調べた。その結果、混合物中では過酸化水素濃度の上昇が顕著に抑制されることがわかった。また、過酸化水素水溶液とゼオライトとの混合物を照射した場合には、水溶液のみを照射した場合よりも過酸化水素の分解量が増加することがわかった。これは、過酸化水素がゼオライトに吸着することにより、過酸化水素が分解し酸素が生成する反応が水溶液中とは異なる反応経路で進行するためと考えられる。
木村 敦; 長澤 尚胤; 田口 光正
no journal, ,
化石資源由来の材料による環境・資源問題が深刻化し、高分子材料分野においても経済性のみを追求する合成高分子から、環境負荷の低減等の側面を持つ天然高分子へシフトする傾向にある。近年、これら難水溶性の天然高分子を高濃度溶解する溶媒として、化学的安定性が高く、特異的な溶媒特性を示すイオン液体が注目を集めている。本研究では、セルロース,キチン等の天然高分子を効率的に分散・溶解するイオン液体を選定し、放射線法の適用により、環境にやさしい新規機能性材料の創製を目的とした。セルロース及びキチンをそれぞれ1-ethyl-3-methylimidazolium-acetate、あるいは1-butyl-3-methylimidazolium-chlorideに溶解し、室温にて線照射することによりゲルの生成に成功した。ゲルの生成収率(ゲル分率)は、セルロースにおいて10kGyで13%、キチンにおいて60kGyで86%であった。また、作製したゲルは水や有機溶媒, イオン液体によって膨潤することがわかり、3.0-5.7mS cm程度の導電性を有していることを明らかにした。
平出 哲也; 岡 壽崇*
no journal, ,
イオン液体中では、陽電子消滅寿命が通常の液体と全く異なる傾向を示す。最短寿命である一重項ポジトロニウム(パラーポジトロニウム)は、通常125ピコ秒程度の寿命を示すが、イオン液体中では、通常の液体中の倍以上の寿命値を示すことも多いなど不明なことが多く、その理由として、過剰電子が長時間自由に拡散することが原因であると考えられた。しかし、陽電子消滅寿命-運動量相関測定から、内殻電子との消滅を示す高運動量成分が若い時刻において大きいことがわかり、これはポジトロニウムが非局在していることを示しており、ポジトロニウムの負の仕事関数に由来するポジトロニウムバブル形成が、通常の液体よりも遅いと考えられる。この遅いポジトロニウムバブル形成は、ナノスケールの応力による緩和時間を観測していることとなり、イオン液体中のナノスケールの特性評価手法への応用の可能性を示している。
岩松 和宏; 田口 光正; 須郷 由美; 倉島 俊; 山下 真一; 勝村 庸介
no journal, ,
高LET放射線のひとつであるイオンビームの特異的な照射効果の由来となっているトラック内反応の解明を目的に、これまで低LET放射線を用いて研究されてきたNaBr水溶液を用い、重イオンパルスラジオリシス法によりOHラジカルなどの水中活性種挙動を調べた。TIARA施設のAVFサイクロトロンからのH(19.2MeV), C(15.8MeV/u), Ne(12.8MeV/u)イオンを用い、NO飽和したNaBr水溶液試料へ照射を行い時間分解分光測定を行った。異なる厚さのAl膜を用いイオンの照射エネルギーを下げて照射を行い、またNaBr濃度を900-0.009mMに変化させて照射も行った。OHラジカルはBrと反応し、375nmに光吸収を持つBrを過渡的に生成する。吸光度のピーク値と入射エネルギーからイオン飛跡に沿って変化するBrの収率(微分G値{d(G(Br)E)/dE})を求めた。微分G値は、イオンのエネルギーの減少及び原子番号の増加、つまりイオンのエネルギー付与密度の増加に伴い6から0.1程度まで減少した。またNaBrの濃度が減少、つまりBrのOHラジカル捕捉時間が遅くなるにつれBrの微分G値は減少した。エネルギー付与密度増加により水分解活性種の初期生成密度が高くなること、又は時間経過に伴う活性種同士の再結合により、Brと反応するOHラジカルが減少しBrの収率が減少したと考察される。
澤田 真一; 八巻 徹也; 浅野 雅春; 佐藤 哲*; 山田 理恵*; 前川 康成
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放射線グラフト重合法で作製した燃料電池用電解質膜は、高温の水中に膨潤させた状態で保持するとグラフト鎖が脱離することが知られている。そこで本研究では、スルホン酸基導入前のスチレングラフト膜でも分解が生じるのではないかと考え、グラフト膜を95Cのトルエン中に浸漬し膨潤させたときの分解特性を調べた。その結果、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)を基材とするグラフト膜では、トルエン中において膜重量の減少が確認され、グラフト鎖が容易に脱離することが明らかとなった。ケミルミネッセンス(CL)測定を行ったところ、PVDF主鎖に残存した過酸化物が開裂してグラフト鎖の自動酸化を招くことがわかり、これがトルエン中での分解に関与している可能性がある。
山下 真一; 廣木 章博; 長澤 尚胤; 村上 健*; 田口 光正
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三次元的に複雑な線量分布を確認する有力なツールとして期待されるポリマーゲル線量計の多くはアクリルアミド又はメタクリル酸(ともに劇物)を材料とし、取り扱いが必ずしも容易ではない。そこで形状保持性のあるシート状母材(放射線橋かけにより作製した天然多糖類誘導体のヒドロキシプロピルセルロースゲル)と低毒性材料を用い、線量が白濁として視認可能なポリマーゲル線量計を開発した。放射線検出剤組成により照射に伴う白濁化の感度が異なり、吸光分析や濁度測定の結果から白濁化を生じるメカニズムが検出剤組成により異なる可能性も示唆された。線量率効果についても検証し、線量率が毎分1.5Gyの場合、毎分0.015Gyのときよりも濁度が半分以下に低下することがわかった。また、線質効果も調べた結果、治療用炭素線や同程度のエネルギーの鉄線では濁度が2/3から1/2程度に低下することもわかった。
小林 亜暢*; 日名田 暢*; 大久保 聡*; 大山 智子; 長澤 尚胤; 田口 光正; 大島 明博*; 田川 精一*; 鷲尾 方一*
no journal, ,
高温下の電子線照射で架橋ポリテトラフルオロエチレンの転写体を得る新規微細加工プロセスに用いたSiモールドについて、表面の元素組成や粗さをXPSやAFMで測定した。その結果、600kGy以上で表面がフッ素化した滑らかなモールドが得られることがわかった。フッ素化したモールドを用いて難剥離材料(ポリカプロラクトン)に対してのナノインプリントリソグラフィーを行った結果、剥離及び形状の転写に成功した。
岡屋 慶子*; 佐伯 誠一; 瀬古 典明; 工藤 久明*; 勝村 庸介*
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前照射法による放射線グラフト重合反応において、放射線照射後の基材の保管条件はラジカルの失活に大きく影響し、グラフト率を左右する一因となっている。そこで本研究では、金属吸着材の基材に用いられるポリエチレン不織布に対し、電子線照射後の保管温度や保管時間がラジカル濃度及びグラフト率にもたらす影響を検討した。50kGy照射基材についてESR法によるラジカル濃度測定を行った結果、保管時間の経過に従い、ラジカル濃度の減少を確認した。また、ESRスペクトル形状から、アルキルラジカルとパーオキシラジカルの存在が推定された。グラフト率の評価においては、50kGy照射基材を任意の時間、室温50Cにて保管後、メタクリル酸グリシジル及び界面活性剤(Tween80)、水を5:2:93の割合で混合したエマルション溶液を用いてグラフト重合(反応温度60C、反応時間2時間)を行った。グラフト率は保管時間が長いほど減少する傾向にあり、ラジカル濃度の減少に従い、グラフト率が減少すると考えられる。また、保管温度が高いほど、グラフト率の減少は大きく、保管温度はグラフト率を大きく左右するパラメーターであることがわかった。
Nuryanthi, N.*; 八巻 徹也; 越川 博; 浅野 雅春; 澤田 真一; 長谷川 伸; 前川 康成; 勝村 庸介*
no journal, ,
今回は、コンダクトメトリーによって穿孔形成過程を解析し、測定セルへの印加電圧がエッチング挙動に及ぼす影響を調べたので報告する。孔貫通に至るまでの化学エッチングは、セル電圧を高く維持することによって大きく加速された。それに対して、最終的に得られる穿孔の孔径を走査型電子顕微鏡観察で調べたところ、電圧印加により増大したものの、セル電圧にそれほど依存せず若干の減少傾向が確認された。
八巻 徹也
no journal, ,
日本原子力研究開発機構では、放射線グラフト重合法による燃料電池用高分子電解質膜の研究を進めている。研究初期からの経緯と量子ビームによる架橋、ナノ構造化など高耐久化を目指した現在までの試み、及びそれらを踏まえた今後の展開について報告する。